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【神経系疾患】神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリーなどがあります。
 
上記の疾患の中で当院ではノイローゼ・ヒステリー・単極性うつ病・双極性障害等で通院・投薬加療中の方への鍼灸治療は対応いたしておりません。
 
ここでは当院での治療例を紹介いたします。
 

 

頭痛

「頭痛」は鍼灸治療がよく効きます。
「頭痛」の鍼灸による治療について、当院の治療例をご紹介してみたいと思います。
 
現代医学的には、「頭痛」は「筋収縮性頭痛」の締め付けられるような痛みと、「血管性頭痛」の拍動性のズキンズキンとした痛みに分けられます。
その中で「血管性頭痛」の中の「偏頭痛」は女性に多く男性の4倍に上るというデータがあります。
慢性の頭痛でお悩みの女性の方も多いのではないかと思います。
 
では当院の治療例をご紹介しましょう。
患者様は40代女性、激しい頭痛で眠れないほど、薬を飲んでも効果がないと言うことで来院されました。
 
東洋医学的には「頭痛」は痛む部位によって関連する経絡があり、当院では経絡の流れを考えて治療いたします。
簡単に示しますと
側頭部痛:少陽経頭痛 (関連する経絡は、胆経・三焦経)
前頭部痛:陽明経頭痛 (関連する経絡は、胃経)
後頭部痛:太陽経頭痛 (関連する経絡は、膀胱経)
頭頂部痛:けつ陰経頭痛(関連する経絡は、肝経)
となります。
 
また「頭痛」をもたらす原因として、肝陽上亢・痰濁・瘀血・気血両虚・腎虚などが考えられます。
 
診察の結果左側の片頭痛で側頭部の胆経ラインの圧痛が激しく少陽経頭痛として、自律神経の調節、血管運動の安定を治療方針とし,
 
全体治療(積聚治療による本治法)+局所治療(標治法)をする事としました。
 
具体的な使用穴は
・百会
・四神聡
・和髎(三焦経)
・頭維
・陽白(胆経)
・脳空(胆経)
・天柱
・風池(胆経)
・陽陵泉(胆経)
・合谷
・太衝
として顔面部は美容鍼用の15mmの鍼を使用し浅刺として置鍼しました。
和髎に刺しただけで、「頭痛がすっと抜けるように軽くなりました。」鍼も痛く無く、「清涼感が気持ちいい。」との感想でした。
 
最後に合谷・太衝の二穴に鍼をして「捜風理痹」し「行気血」させ経絡の通りを良くして治療終了としました。合谷・太衝の二穴は「四関穴」と呼ばれ肝陽上亢による頭痛によく効きます。
 
鍼灸治療は「頭痛」には即効性がありますので、慢性の頭痛にお悩みの方はぜ是非ご相談ください。

頸・肩・背中・腰が痛く、酷く頭痛がする。

『頸・肩・背中・腰が痛く、酷く頭痛がします。』という患者さんの治療例。
「そんなに一度に沢山の症状に対応できる?」と思われるかも知れませんが、最初に「本治法」で病の大本を治療し、その後に「標治法」で局所に鍼と灸をすれば症状は改善します。
鍼灸治療は慢性の痛みや凝りの緩和に良く効きます。
今回お体を拝見すると頚部と肩部の凝りが著明で頭痛は頚と肩の凝りにより頭部への気血の流れが阻害された事が原因では無いかと思われました。
また東洋医学的には「頭痛」は痛む部位によって関連する経絡があり、当院では経絡の流れを考えて治療いたします。
今回は後頭部痛という事なので、太陽経頭痛 (関連する経絡は、膀胱経)と考えられます。東洋医学では膀胱経は腎経と表裏関係にあります。
腹診で証を「腎虚証」と判断し「本治法」で頭部に昇った気を下げる治療を行った後に天柱・風池・四神聡・百会・四白・太陽などに鍼をして、ビワの葉温灸を腎の場所に当て「腎温補」をしました。
 
頭部に昇った気を下げる治療は今回は「積聚治療」の「逆治」を用いました。
治療後は頸凝り・肩凝り・背中の凝り・頭痛も治まり、眼が開くようになり、赤かった顔色も白くなりました。
 
「痛み」というものを、東洋医学では「気」であると考えます。気血が阻滞すると痛みが発生する事を「不通則痛」と言い。気・血・精の不足などで臓腑・経絡が滋養されないと痛みが発生する事を「不栄則痛」と言います。つまり「気」の異常が「痛み」であると考えます。
鍼灸治療+ビワの葉温灸で治療後は痛みと凝りが和らぎ頭痛も治まりました。気候の変化で気血が阻滞、気・血・精の不足などで痛みと凝りが起きたようです。


不眠症

患者様から良く「治療を受けた日はとてもよく眠れる。」と言われます。
これは理由があり「鍼灸治療により、交感神経機能が抑制・副交感機能が亢進することで、自律神経の緊張が緩み眠くなるからです。」
鍼灸施術の効果の一つに「転調作用」という物があり、「自律神経」を調える作用があります。
 
当院では全体治療の時には背中に「五華の灸」という「慢性疲労」に効果がある、督脈上の身柱を頂点とした五角形の灸を多くの患者様に治療しますが、この灸は、ストレスの緩和・倦怠感・精神の安静に良く効きます。
特に「不眠治療」をしていた時ではありませんが、眠剤を服用しても眠れないという患者様が、治療後の夜は「引き込まれるように眠くなって朝まで目が覚めかった。」と話されたこともありました。
 
当院では「不眠症」の治療も行っております。治療方針として「安心寧神」を採用し「気の流れを調え」精神を安らかにし眠りの質を高めることを目標としております。


「心虚証」による冷え・のぼせ・背部の凝りと痛み

「心虚証」の冷え・のぼせの治療例。
「冷え・のぼせ・心臓の下の張り・心臓の裏側に当たる背部の凝りと痛み」の患者さんの治療例。
 
症状は「冷えのぼせ(=上実下虚)」「心臓の下の張り」「心臓の裏側に当たる背部の凝りと痛み」でした。
脈は遅脈であり、腹診をすると胸骨の下端、ツボ名で言うと「巨闕」と臍の下の臍下丹田付近の圧痛が特に顕著で、「巨闕」がより痛みが強いと言うので、「巨闕」を指標として「積聚治療」の心虚証で治療をする事としました。
 
心・脾・腎の部の「積=痛み・凝り」は下虚の状態を示しており、「心積」は「腎積」よりも下虚の程度が強く、上まで来ていることを表し、上実が強い事が伺えます。
 
東洋医学では「心臓の下の張り」は心下痞鞭(しんかひこう)と呼ばれ、心下部(みぞおち)が自覚的につかえる状態。心下部が他覚的に硬く抵抗がある状態を言い鍼灸では心・心包の病変とされます。
 
今回は脈状が遅脈・臍下丹田付近の硬結から瘀血もあるように思いました。
 
治療としては腹診から「心虚証」とし「上実下虚」が強いことから第四方式で治療を開始、背部の兪穴に丁寧に鍼を当てていくと、上っていた気が下がり、赤かった頭部と肩背部の色が落ち着いてきて、硬かった肩の筋肉も柔らかくなって「上実下虚」が治まり、「心臓の裏側に当たる背部の凝りと痛み」も解消しました。
 
再び仰向けになって貰い「心臓の下の張り」を触ると、かなり緩んでいましたので、「積」を意識しながら三焦経の「外関」にゆっくりと鍼を当てると「心臓の下の張り」が完解していたので治療終了としました。


「腎虚証」による不眠症と冷え・のぼせ

「不眠症」と「冷えのぼせ」の症状の患者さんの治療例。
「不眠症」と「冷えのぼせ」の症状の患者さんのが来院、切診すると下顎骨下縁と烏口突起・曲池・陰谷・三陰交・公孫に圧痛、左側の圧痛が強い。
「積聚治療」で治療を開始、腹部に接触針を行い。再度圧痛を確認、下顎骨下縁と烏口突起・曲池の痛みはほぼ解消、上気していた顔色も収まってくる。
接触針後は左側陰谷・三陰交・公孫の痛みのみ少し残る。
脈調整に右大陵を使用後、腹診で証をたてる。
右天枢と曲骨上の痛みが強く、曲骨上は飛び上がるほど。
 
今回は積聚治療の「腎虚証」第四方式にて治療する事として、背中に接触針を実施後、膀胱経2行線、脊際に針をし、督脈上の施灸を行う。鍼の治療が進むに連れて上っていた気が下がり、足先も温まり、施灸中に突然いびきをかき始めたので、治療目的はほぼ達成として、起こすのは心苦しかったが、再度仰臥位となって貰い、曲骨上の痛みを確認痛みが解消していたので治療完了としました。
今回の「不眠症」と「冷えのぼせ」の症状も「腎虚証」が原因となって起きたもので「本」である「腎虚証」を直せば「標」であ「不眠症」と「冷えのぼせ」の症状も直るわけです。


「肺虚証」による肩こり・頭痛・冷え・のぼせ

「肩こり・頭痛・冷えのぼせ」の患者さんの治療例。
症状を聞くと『お腹から肋骨の下がパンパンに張って苦しい。肩こり・頭痛がする。』
『買い物で、冷蔵ケースの傍に行くと足から冷えが上って来て立っていられない。』
との事。
 
体の「冷え=精気の虚」が強く「陰の気」が虚しているのが原因と判断しました。
脈を診ると、左の寸関尺の脈が全く触れない。足の脈を診ても左の太衝の脈が弱く。左の肋骨の下の圧痛が一番強く熱感がある。
今回は「積聚治療」を用いて治療する事とし、腹部に丁寧に接触鍼をしていくと、それだけでお腹の張りがだんだん緩んできました。
患者さんも「お腹の苦しいのが楽になりました。」と教えてくれました。
 
腹部を診察し「肝積」と判断して背部も同じように丁寧に接触鍼をして肝積肺虚証で治療を開始すると、患者さんが『お腹がグルグル動いています。背中に鍼をして、お腹が動きだすのがとても不思議。』と教えてくれました。
 
鍼をさらに丁寧にツボに当てて行くと、上部に上っていた気が下がって、硬かった頚部の筋肉が柔らかく弾力を取り戻してきました。
 
脊柱上の督脈上に透熱灸を据えると、途端に欠伸とゲップが出て発汗。かなり「気」が動いた様です。
 
最後に左の肋骨の下の圧痛点に意識を置き左の太衝に鍼を当て「気」を動かし、圧痛点の硬さが取れたので治療終了としました。
 
治療後は「冷えのぼせ」も治まり「肩こり・頭痛・腹部・胸部の張り」もすっかり取れていました。


顔面神経麻痺。

顔面神経麻痺の患者さんの治療例。
「顔が強張る」とお見えになりました。まず「積聚治療」で「本治法」を行い「標治法」としてお顔に鍼をしました。
顔鍼は陽白・魚腰・太陽・四白・地倉を浅く刺し、置鍼するものでしたが、顔面の気血の流れが改善され、顔の筋肉の凝りが短時間で緩み、顔面神経麻痺が改善します。
この技術は美容鍼にも応用可能なものです。アナウンサー等の沢山喋る職業の人は顔面の筋肉が凝るそうですが、鍼灸治療は凝りをほぐすのに良く効きます。
今回の「顔面神経麻痺」の治療穴の作用と美容的効果を少しまとめてみました。
 
「四白」:
作用
眼を明るくし風邪を去る(明目去風)
美容的効果は
目の周囲のくま、顔面浮腫、中高年の下瞼の浮腫、ニキビ、吹き出物を皮膚を潤沢して改善する。        
眼瞼の張力を向上させる。
 
「陽白」:
作用
風邪を去り熱を清する(去風清熱)
頭をスッキリさせて眼を明るくする。  
美容的効果は
額部のたるみ、しわ、くすみを改善する、眼周部のくま、眼瞼下垂を改善する。
 
「魚陽」:
作用
熱を清し眼を明るくする(清熱明目)
痙攣を静めて痛みを止める(解痙止痛)    
美容的効果は
眼瞼痙攣、眼瞼下垂、目の周囲のくま、額部と眼周囲のしわの改善、
額のニキビ、吹き出物、口や眼の歪み、額の色艶を良くする(悦沢面容)
眉毛が生えるのを促進する。
 
「地倉」:
作用
風邪を去り気を良く巡らせる(疏風行気)  
美容的効果は
口角のたるみ、ほうれい線と口角のしわの改善、頬部の腫脹、ニキビ、吹き出物を改善する。
 
「太陽」:
作用
風邪を去り痙攣を静める(去風解痙)   
熱を清し痛みを止める(清熱止痛)      
頭と眼をすっきりさせる(清頭明目)  
美容的効果は
眼周部のしわ、たるみの改善(除皺益顔)     
眼周部のくま、眼瞼下垂  
額部のニキビ、吹き出物、眼や口の歪みを改善する。
以上の5つの経穴左右10ヶ所の鍼を浅く刺し、しばらく置鍼するだけでも美容効果があります。 
 


 

メニエール病

メニエール病の治療を定期的に受けている患者さんの治療例。
メニエール病の治療を定期的に受けている患者さんが二週間ぶりに治療に見えられました。
遠くから治療にお見えになられているのですが、仕事が忙しく治療を受けに来ることが出来なかったそうです。
前回の治療を受けて一週間目は調子が良くて、目眩・ふらつき・耳の聞こえも問題なく薬を服用せず過ごせて、2週間目の後半になると少し体調が怪しくなったそうです。
今回は幸い発作は起きなかったとの事ですので安堵しました。
10年近く「メニエール病」で悩まれていた方が週一回から二週に一回の鍼灸治療で薬を飲まずに症状をコントロール出来るのですから、個人差はありますが鍼灸は「メニエール病」にとても効果があります。
 
現代医学的には「メニエール病」は、内リンパ液の生産と吸収のバランスが崩れることで起こり、内リンパ液の過剰生産により、音を伝える「蝸牛」、平衡感覚を司る「半規管」「耳石器」に内リンパ液が溜まって腫れ上がる「内リンパ水腫」が原因だと考えられています。
内リンパ液の過剰生産の原因は不明ですが、一般的には、ストレス、疲労、あるいは睡眠不足などが引き金になって起こることが多い様です。また神経質とか凡帳面な人に多く見られます。
 
東洋医学的には耳は「腎」と密接な関係があります。「腎の気」が衰えると難聴や耳の閉塞感が起こります。
 
当院では最初に「積聚治療」を用いた「本治法」で体全体の気血水の流れを調え、虚している臓の気を補います。補う気は「腎の気」であったり「脾の気」であったりと診察の結果で変わります。
頭部の症状ですが足にメニエールの特効穴があり、また「標治法」で耳・頸部・肩部・顔面部に鍼を刺します。
耳・顔面部の鍼は「美容鍼」用の鍼を使用しますので痛くありません。
当院で「メニエール病」の治療を受けている方々は皆様、症状が安定しており「メニエール病」には鍼がよく効くと改めて思いました。