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【運動器系疾患】リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腰痛・腱鞘炎・関節炎・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)などがあります。
 
※当院ではパルス鍼を使用した筋肉のトレーニングは行っておりません。
 
ここでは当院での治療例を紹介いたします。

 
 
 

 

頚部の凝り・肩部の凝り・腰痛の鍼灸治療。

肩凝り・頸凝り・腰痛の女性の患者さんの治療例。
肩が凝りすぎて頭が痛いと言う事でした。
「澤田流太極療法」で治療を開始し、背中の肩甲骨の間を指頭で探ると督脈の中枢の脇付近に硬い凝りがある。
その硬結を探ると『右の拇指に響きます。』との事でした。
治療しながら話を伺うと『実は何年も拇指のばね指で困っています。』との事でした。
督脈の中枢の脇付近とは膈兪穴の事ですが「ばね指」の治療穴として有名なツボです。(詳しくは深谷伊三郎先生の本をご覧ください。)
膈兪穴は肩凝りの治療穴としても通常使用しますが、慢性疲労の時に「五華の灸」として使用するツボの一つでもあります。
今回は膈兪穴に反応を見ながら灸七壮、ほかに曲池・合谷・外関を組み合わせました。お灸後は膈兪穴を押しても拇指に響くことは無くなり、拇指のばね指も痛くないと言う事でした。
指が痛いのに背中にお灸をすると症状が緩和するのは不思議に思いますがこれは「遠通し」と言う東洋医学の伝統的な技法です。
四肢の症状は体幹部を治療することで治し、体幹部の症状は四肢を治療することで治すのが東洋医学の特徴の一つですね。
主訴である肩こり・頸凝り・腰痛は良くなりましたが、今回一回の治療では数年越しの「ばね指」を完治させることが出来ません。何回か通院していただく事となりました。


肩凝りと上肢痛

今回治療した患者さんは、子供をだっこしたのが原因と思われる、肩凝りと上肢痛でした。
多くの育児中のお母さんが体験するのではと思います。治療例を順序に従って御紹介してみたいとおもいます。
 
問診したところ、右の肩凝り・上肢痛・脇の下の痛みと言う症状でした。
子供をだっこすると言う動作を考えると、腕を下に降ろし、肘を曲げると言う姿勢ですよね。
その場合に負担がかかるのは筋肉では三角筋・僧帽筋・腕橈骨筋になります。
三角筋は物を持ち上げるのに重要な働きをする筋肉です
僧帽筋は、三角筋の働きを助け肩甲骨を安定させますが、重い物を持つ時は、肩甲骨が下に下がるのを防ぐ作用もあります。
僧帽筋は肩凝りの主要な原因筋であり、英語では肩凝りを僧帽筋の筋肉痛「Trapezius Myalgia」とよぶこともあります。
よく英語では「肩凝り」に相当する言葉が無い、欧米人は肩凝りにならないといわれますが「stiff neck」とか「stiff shoulders」とか言うみたいです。
腕橈骨筋は前腕の屈筋ですから、肘を曲げてお子さんをだっこすると筋肉疲労が起きるのは当然ですね。
触診すると、三角筋が凝り、肩甲骨の背部も痛みがあり、上腕は関節部と腕橈骨筋に痛みがありました。
 
今回の治療は刺さない治療法である、「積聚治療」で行いました。
①最初に腹部全体に接触鍼と言う技法の鍼を行います。鍼は刺入せず、接触するだけで痛みも全くありません。これで体表面の気を調えます。
②次に脈診をして、脈調整という技法を行います。手首の虚している経絡に優しく鍼を当てます。ここでも刺入はしません。気が動くのを感じたらそこで脈調整を終えます。
この段階で「患者さんから、腕が軽くなった。」と報告がありました。
③腕橈骨筋の先ほど痛かった所を確認すると「今は痛くありません。」と患者さんから返事が返って来ました。
④その後に「腹診」で症を立てたところ「脾虚症」ということで腹ばいになって貰い、背部の治療にうつります。
⑤背部は右の肩甲骨の上部と下部とに反応があり、押すと痛いと言うことでした。肩甲骨には棘上筋・棘下筋がありますが、その上を肩凝りの筋である僧帽筋が薄く覆っています。
⑥背部全体を腹部と同様に接触鍼をした後に、痛い右側の反対に順序に従って鍼を行います。痛い所でなく反対に鍼を刺すのを巨刺と言います、東洋医学的の古典的な手法のひとつですね。鍼は皮膚に当てるだけで刺入はしません。鍼を当てながら、痛い右の部分を優しく指で押して、気が動くことにより、硬結が緩む具合を見ながら一穴・一穴丁寧に反応を見て進めていきます。
⑦最終的に肩甲骨の凝りと痛みが取れたので治療終了としました。
今回は肩凝りと上肢痛と脇の痛みと言うことでしたが、痛いところに直接鍼を刺入する事なく痛みがとれました。患者さんも治療後「痛みが抜けました。」と喜んでくれました。
今回使用した「積聚治療」と言う治療法は基本的に鍼を体に刺入しないので、鍼を刺入するのに抵抗のある方にお勧めの治療法であると思います。
肩凝り、腕の凝りにお悩みの育児中のお母さん、鍼治療を一度受けてみて下さい。


刺さない鍼による腰痛の治療。

院長は「積聚治療」という経絡治療の一流派なのですがどんな治療法か「腰痛」の治療を例に説明して見ます。
 
積聚治療の最大の特徴はその使用する鍼にあります、専用に開発された「積聚鍼」という銀製の鍼一本で基本治療(=本治法)と補助治療(=局所治療)を行います。
①最初に望診・聞診・問診・切診を行います。
②主訴の腰痛以外に顔が赤く上実しており。中府・孔最・太衝の圧痛と頸部の凝りと下肢の冷えが著明でした、それを指標として「気を動かして冷えを取る」治療を行います。
③まず腹部の観察をして、硬結、圧痛、冷え、熱感、肌の色艶などを観察し、その後腹部に接触鍼を行い、腹部の浅い気を調えます。
④脈診をして虚脈に補法の鍼をして脈状を調えます。昨日は肺が虚していたので、太淵を使用し脈を調えました。脈調整の間に上逆していた気が下がってきたと患者さんから答えがありましたので気が動いたと判断し、脈調整を終了し次の段階に移ります。
⑤脈を調えた後に、腹診をして証を立てます。今回は曲骨上の圧痛が一番強かったので「腎積腎虚」と証を立て治療方針を立てます。
⑥証を立てた後に背面になって貰い、積聚治療の手順に従い、背部兪穴に鍼を軽く当て、気がいたるのを待ちます。鍼は深く刺すことはありません、深くても切皮程度で多く場合は跡が残る程度です。
⑦鍼を背部の兪穴に当てる程度の刺激ですが、兪穴から仙骨まで響くと患者さんから報告があったので、背部は兪穴四穴のみとし督脈上の圧痛点である命門上に箱灸による灸を置き、頸部に凝りが残っているので委中に鍼を軽く当て、頸部の凝りに意識を置き鍼を操作すると頸部の凝りが緩んで来ると同時に、足先を確認、足先まで暖かくなってきたと患者さんが報告するのを触って確認し、仰臥位に戻り、曲骨上の圧痛が消えているのを確認し、最後にベット上に体を起こして貰い、気の最終調整の為「肩井穴」に鍼をして治療終了としました。
治療の結果、腰痛は勿論、上逆と足の冷えも改善されています。
「積聚治療」は刺さない鍼なので、刺す鍼に抵抗がありる方でも安心して治療を受ける事ができます。


膝痛・腰下肢痛・脊椎すべり症。

「脊椎すべり症」と整形外科で診断され、膝も痛む患者さんの治療例。
腰下肢痛といっても、色々な原因があります。
腰痛ならば、姿勢性腰痛・筋・筋膜性腰痛、椎間関節性腰痛、変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、分離・すべり症など
下肢痛ならば、坐骨神経痛、利状筋症候群、大腿神経痛などがあります。
「脊椎すべり症」は椎骨が真下の椎骨に対して前方に滑って移動した状態の事をいいます。「脊椎すべり症」自体を治すことは鍼灸治療では出来ませんが、痛みを緩和することは出来ます。
腰下肢痛を東洋医学的な考え方で捉えれば、臓腑、経絡、経筋に関係すると考えます。
急性のものは、外邪や外傷による気血阻滞による血おが原因によるもの(東洋医学では不通則痛と呼ばれます。)
慢性のものは「腎虚」によるものが多く、東洋医学では「腰は腎の府」と呼ばれ、腎の気の不調が腰に影響を与えると考えられています。(東洋医学では不栄則痛と呼ばれます。)
 
膝が痛む場合は、下肢前面の足陽明胃経、下肢後面の督脈・太陽膀胱経、大腿前面、下肢外側の少陽胆経についても切経して指標を確認する必要があります。
切経すると左膝関節外側に圧痛があり、左下肢全体が浮腫んでいる状態でした、関節には邪が溜まりやすく、東洋医学では「邪好みて寝る」と言われています。
腹診では小腹不仁(下腹部「臍下」に力が無くフワフワしている状態)であったので腎の病変、腎虚症とし、寒湿が気血の運行を不利し、腰部の経絡の気が阻滞(不通)し痛みが発症したと考え、治療方針として圧痛がL5督脈上と左殿圧に著名なので経筋の変調も視野に、血流改善、筋緊張緩解、鎮痛を目的とし、まず本治法として「積聚治療」を用い巨刺(右側)で「精気の虚」を「補法」で丁寧に補っていきます。
 
「積聚治療」の特徴は刺さないことです、刺して痛みを与えると「瀉法」になってしまいます。鍼で治療して「精気の虚」を補うにつれて左足の浮腫が取れてきて、腰の痛みも緩解し、冷たかった足先も気血が巡って来ました。
「補法」の鍼で「正気の虚」を補った後に、更にお灸で「補法」を行います。今回の痛みは「寒湿の邪」が乗じて生じたものなので灸法で熱を入れることにより緩解します。
命門上にビワの葉温灸を置きゆっくり温補しましたが、患者さんに様子を聞くと「膝の痛みが消えました。」との返事でした。普段うつぶせ状態だと膝に痛みが出るのだそうですが、「今は全然痛くない。」との事でした。
 
最後に委中に巨刺(反対側治療のことで、経脈が病んでいる時、病が右にあれば左に、左にあれば左に経刺する事)をして治療を終了しました。
「委中」は「四総穴」の一つで「腰背は委中に求む」と言われる、腰下肢治療の代表的な経穴です。
本治法で「腎兪」を使用していますので、「委中」+「腎兪」を併用すると相乗効果で、和表裏、通経絡、利腰脊、止疼痛作用がより高まります。特に膝部分の「膝痛」の治療はしませんでしたが、全体治療で「本」の症状が改善すれば、それに伴う他の症状も改善します。


膝と下腿の裏側の腓腹筋・ヒラメ筋が痛い。

膝と下腿の裏側の腓腹筋・ヒラメ筋が痛いと言う90歳台の女性の治療例。
問診すると「膝とフクラハギの裏側が一か月前から痛い。他は肩と腰が痛みます。」と言う事でした。
伏臥位で診察すると足の裏が氷のように冷たく、下腿の後面の皮膚が硬く張っていて、触診すると膝裏の委中穴から下方が「なめし皮」の様な感じです。
腰部を触診すると頸部から臀部まで脊柱起立筋が硬く志室付近に顕著な凝りが認められます。
この方の下腿の痛みと凝りは腰部と密接な関係があります。経絡的にはいずれも膀胱経に属する場所ですね。
本日の患者様の場合は高齢により「腎の気」が虚したことが症状の根本の原因であると考え「本治法」として「腎虚証」で「腎の気」を補う治療をした後に「標治法」として肩・腰・下腿に鍼をして治療する事としました。
 
ここで「腎虚証」について簡単に説明してみたいと思います。
 
「腎虚証」とは「腎」が虚している状態のことですが東洋医学の「腎」と西洋医学での「腎臓」とは異なります。
東洋医学では五行と気の思想が根底にあります。五行とは基本物質として「木・火・土・金・水」を考えます、また五行とは五種類の気でもあります。
東洋医学では五行の「木・火・土・金・水」に五臓の「肝・心・脾・肺・腎」を配当して人体の諸機関および生理現象相互の関係を認識して、診断と治療に応用しています。
簡単に言うと「木=肝・火=心・土=脾・金=肺・水=腎」という関係になります。
「腎虚証」の腎は五行では「水」に配当されます。「水」の性質は潤下で作用は寒涼・滋潤・向下性です。
東洋医学では「腎」は
①精を蔵する
②津液を主る
③骨を主る
④髪に反映する
⑤耳と二陰に開竅する
⑥液は唾である
⑦志は恐驚である
⑧納気を主る
⑨腎は五臓の本
⑩腎は先天の本
⑪腎は腰の府
とされています。
具体的に例を挙げると、腎の気が弱まると慢性疲労・体温低下・月経異常・不妊症・ED・浮腫・腰痛・腰膝のだるさ・耳鳴り・難聴・白髪・脱毛などの症状が起きることがあります。
当院ではどの臓が虚しているかは四診と呼ばれる診察法を使い「証」を決定して証に従い鍼と灸で治療を行います。
 
上記の①で「腎は精を蔵する。」と書きましたが、精とは人体を構成している素であり、全ての「気」の素となる基本物質です。
気・血・津液は「精」が生成変化したものです。そして「精」には「先天の精」と「後天の精」の二種類があります。
 
「先天の精」とは両親から受け継いだ「精」のことで、生命の素で「腎」に収蔵され、「腎精」と呼ばれます。
この「先天の精」は発育・生殖・老化という基本的な生命活動を行いますが「先天の精」は「気」に変化すると「原気=元気」となり「臍下丹田」に集まり生命活動の原動力となります。
 
「本治法」として「腎虚証」で「腎の気」を補う治療をした後に「標治法」として肩・腰・下腿に鍼をして治療したところ治療後に痛みは和らぎました。


下肢の痛みが上下に動く?

「坐骨神経痛」の患者さんの治療例。
「痛い所が移動するんですけど?」と質問されました。
夜寝ていると痛みが下肢を上下して眠ることが出来ないそうです。
診察すると胆経のライン上を痛みが移動するとことが分かりました。胆経は下腿の外側を流れている経絡です。
まず考えられるのは「痺症」という症状です。
東洋医学では「風」「寒」「湿」の三邪が同時に身体を襲い、営衛の気の循環が悪くなり発生する病を「痺(ひ)」と呼び、症状として痛み・痺れ・腫れ・重怠い感じなどが出ます。
「痺」の中でも痛い部位が遊走するのを「行痺」と言います。
中国医学の古典である「霊枢」周痺篇「素問」痺論篇では「周痺」と記載されていて、経脈の流れに沿って上が痛んだり、下が痛んだりする症状です。
「坐骨神経痛」の時に稀にみられる症状で、最初は腰が痛く、次は臀部が痛み、その次に下肢が痛くなり、腰部を治療すると段々上部から症状が緩解して行きますが、腰の痛みが無くなっても、下肢が痛かったりします。
治療に際しては下肢の痛む場所だけでなく、腰部も併せて治療すると「痺症」も改善されますのでご安心下さい。


足先の痺れを伴う坐骨神経痛の治療。

「坐骨神経痛」で足先まで痺れが出ている患者さんの治療例。
腰椎2番の圧迫骨折が原因の「坐骨神経痛」と整形で診断され治療を受けていたそうですが、整形ではこれ以上症状が改善しませんと言われ、貼り薬と痛み止めを処方されていると言うことでした。
昨晩は下肢の外側や膝の裏側が痛み、痛み止めを飲んでも効かない。一晩中アイスパックを当てていたそうですが、一睡もできなかったそうです。
足先は痺れて感覚がない、膝に力が入らず歩くことも出来ないと言うことでした。
今回は澤田流太極療法を使い治療しました。
澤田流基本穴をベースにして、腹部は中脘・澤田流大巨、下肢は委中・陽陵泉・陰陵泉・外丘・附陽・崑崙、背部は身柱・肝兪・脾兪・腎兪・澤田流志室・大腸兪などを使い丁寧に鍼と灸とMT温灸器で治療しました。
治療中に痛みが和らぎ、良くお眠りになっていました。治療終了後は足を地面に着けても痛くないと喜んでお帰りになりました。


足先の痺れの治療。

『右足の先が痺れる。』と言う患者さんの治療例。
問診すると『右足の指先からふくらはぎ・太もも・臀部に電気が走る様な痛みと痺れ、左足の脹ふくらはぎも痛み、また下腹部(臍の下の恥骨結合の上縁部)に痛みがある。』との事です。
触診すると右足の膝上に硬結があり足先が氷の様に冷たく、筋肉が凝り固まっている状態です。
痛む場所は坐骨神経の走行ラインと合致している様であり、坐骨神経の症状の様に思えます。
恥骨結合の上縁部は任脈上の曲骨穴と呼ばれるツボがありますが東洋医学の腹診では「腎のエリア」となります。
腎が虚していると此処に痛みが出ることが多いようです。腎の気が虚している事が経絡を通して足先まで影響を与えている様です。
今回は腹診して曲骨穴付近の圧痛が最も顕著であるので「腎虚証」として治療を進めて行く事としました。
腹部接触鍼・脈調整をして背面部に丁寧に鍼をしていくと、徐々に背面と足の筋肉が緩んで来ます。足も暖かくなって来ました。
基本治療を終えて督脈上の腰陽関に箱灸をしながら、臀部と下腿の坐骨神経のラインを意識して鍼をすると患者さんから『足に何かしていますか?足がジュワージュワーとして暖かい物が流れて行きます。』との事。
「鍼をしています。」と答えると『鍼を刺したのに全然気が付きませんでした。』と答えが返って来ました。
鍼をすることで体全体の気血の流れが良くなり、冷えていた足先に気や血流が回復するのでジュワージュワーと感じるのですね。
鍼は痛いと思われ勝ちですが、鍼管を使い細い鍼を刺すと痛みも無く、刺された事に気が付かない事も多いですね。
今度は「腰陽関」にお灸をして熱をじんわり浸透させます。「腰陽関」は下肢の疾患に効果があり、神経痛・関節炎・膝痛・下肢麻痺等の他に腰部と下肢の冷感に効きます。
背面で治療を終えて、今度は仰臥位で治療、右足の膝陽関と血海に鍼とお灸、膝陽関も膝関節炎・外側大腿皮神経痛・下腹部の冷え込みを治する名穴とされ腰陽関と膝陽関は響きあう関係と言われています。
膝陽関にお灸をすると患者さんから『そこ気持ち良いですね。』と感嘆の言葉が漏れました。
今回の足先の痺れは冷えと坐骨神経が原因の様でした。患者さんは治療を終えて『足の痺れが無くなりました。』と喜んでお帰りになりました。


腰のヘルニアが原因で膝が痛くて歩けない。

腰のヘルニアが原因で膝が痛くて歩けない患者さんの治療例。
「膝が痛くて歩けない。」と電話を頂きました。
以前から足が痺れていて、先月から症状が悪化して歩くことが出来ず。病院で膝のレントゲンを撮影したが異常は診られなかった言うのです。
念のため「ヘルニアの持病をお持ちですか?」とお訊ねすると、長年の腰痛持ちで病院で治療を受けたが慢性化して治らないと言われたそうです。
電話では詳しくは分かりませんので来院して頂いて診察すると、痛いのは膝の後面の内部と下腿の脛骨神経支配の筋肉(大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋)上殿神経支配の大腿筋膜張筋であることが分かりました。
 
さらに脊柱を拝見すると腰椎から仙骨(L4~S1)の生理曲線が失われ脊柱の突起が手に触れることが出来ず、椎間が詰まった感じがします。
膝関節の後面の内部は坐骨神経が走行しており脛骨神経は坐骨神経の枝でL4~S3から神経根が出ています。また上殿神経はL4~S1から神経根が出ています。
 
坐骨神経と上殿神経は何れも仙骨神経叢(L4~S4)に属する神経で脊柱の異常が神経根を圧迫して症状が出ている様です。
大本の原因が腰のヘルニアにあるのであれば膝のレントゲンを撮っても異常は分かりません。
病院で「腰は診てもらいましたか?」と伺うと、「触っても呉れませんでした。」との事です。
 
治療法としては先ず腎虚証で「本治法」を行い、「標治法」で仙骨神経叢と上殿神経と坐骨神経の走行上に鍼をして、L4~S1上にビワの葉温灸をして最後にMT温灸器で経絡上をトリートメントして終了としましたが、治療を終えると「少し良くなりました。」との事です。
慢性化したヘルニアを治療するには少し時間がかかります。


目が覚めたら腰が痛くて起きられなかった。

『目が覚めたら腰が痛くて起きられなかった。』という患者さんの治療例。
「何か前日に心当たりがありますか?」とお尋ねしたところ、介護施設にお勤めで入所者のお世話で腰に負担が掛かることがあるそうです。
背部と腰部を拝見すると脊柱起立筋が凝って盛り上がっていて仙骨付近に圧痛が顕著で、ふくらはぎも痛みがあります。
 
今回は澤田流太極療法を使い、背部・腰部・下肢の膀胱経に鍼をして、仙骨部分に箱灸を行った後に「ビワの葉温灸」を行い有効成分をじんわりと患部に浸透させ仕上げにMT温灸器で経絡の流れを調えました。
 
治療を終えますと『足がすっきり軽い。腰の痛みが和らぎました。』とのことです。
 


十二指腸潰瘍と背部痛

背部痛で患者様が来院、『胃の裏が痛む』というので問診したところ「十二指腸潰瘍」で治療中であることが分かりました。
お医者さんで処方された薬は服用しているが『背中が痛む』とのこと。
 
背部痛は「十二指腸潰瘍」が原因であることが濃厚です、経絡上を診ていくと膀胱経の膈兪穴の圧痛著明、胆経の外丘穴、腎経の太谿穴に反応があり、左小野寺臀部点にも圧痛が認められました。
 
患者さんも『腰痛の時と痛み方が違う。』と説明されていました。
今回は「澤田流太極療法」で治療をする事とし、腹部は鍼、背部は灸を主としました。
経穴は澤田流の基本穴を使用、背部は六華の灸(胃の六灸)、小野寺臀部点と外丘穴、太谿穴を加えました。
胃の六灸は、膈兪穴・肝兪穴・脾兪穴の左右六穴で構成された胃疾患に効果がある伝統的な鍼灸処方です。
治療途中から背部の疼痛が緩和され、鍼灸治療が「疼痛」緩和に効果があることを再確認出来ました。